DESIGNART 2023

楽しい気持ちは、
器を手に取るところからはじまる
~WASARA flower stand の話~

菓子研究家
福田里香 Ricca Fukuda

「WASARA」シリーズは2008年のブランド設立以来、世界的に類を見ないテーブルウェアとして愛されてきました。その根底にはデザイン性の高さに加えて、いち早く環境に配慮し廃棄物だった竹やサトウキビの繊維を器の素材とした取り組みが評価されていることがあります。

今回「DESIGNART TOKYO 2023」にWASARAが初参加するにあたり、プロデューサーの田辺三千代さんより展示スペースのディレクションのお話をいただきました。
―― 例えば、つい先日ピエール・エルメの試食会では、プラントベースの新作菓子がWASARA/ 丸皿に供されていました。
―― また、NY で展開するライラ&ナディア・ゴハー姉妹のクリエイティブなキッチンウェアブランド「Gohar World」のプレス発表会では、おもてなしフードがWASARA/ 角皿にのっていました。

才能あるプロの手によって素晴らしい盛り付けが様々に為されてきたWASARA に、何かできることがあるだろうか?と考えた時に、行き着いたのが「料理を盛り付ける前、器を手に取るところから楽しい気持ちがはじまればいいのに」という想いでした。頭にぱっと浮かんで描いた最初のスケッチは、三千代さんがお花に囲まれて蝶々を愛でている風景です。

《WASARAWASARAブース初案イメージ》

私が感じるWASARAのブランドイメージは静謐、シック、洗練、エレガント……そこに「かわいい」を付け加えることができればと思いました。WASARAに盛った料理が素敵に見えるのは周知の事実ですから、手に取る前の器が可憐な花だったらどうだろう?

花びらを摘むように器を手に取る、という行為は軽くて割れる心配がなく、優美な曲線を造形に持つWASARAにしか出来ないこと。新作「取手皿」もマグノリアの花びらのような造形です。

今回「WASARA flower stand」を制作するにあたり、日本を代表する木工家具メーカーであり持続可能な仕事を模索するマルニ木工の皆様とのコラボレーションが実現しました。マルニ木工に多大なるご協力をいただき、私が1mm方眼用紙に書いた拙い設計図を密度の高い美しい造形物にブラッシュアップしていただきました。

〈WASARA Flower stand Flower stand 原案〉

また会話を重ねる過程で、WASARAには木製の食品サンプルが似合うのでは?と思いつき、工場で家具を作る際に出る端材をそのまま組み合わせて「WOODEN FOOD(食べ物型の積み木の総称)」を作らせていただきました。心より感謝を申し上げます。

ぜひ「DESIGNART TOKYO 2023」のWASARAのブースで、手に取る楽しさを体感していただければ嬉しいです。皆様のご来場を心よりお待ちしています。

福田里香